庭を広く見せるには
庭は、計画を立てて完成した後も、家族の年齢とともに生活スタイルが変わり、少しずつ手を加える必要が生じます。
またそれには、自分で考え、自分でつくる、手作りの楽しみがあります。
庭づくりや手入れにストレスを感じるようでは、何もなりません。庭は、憩いをもたらすものであってほしいと思います。

↑庭木の株元の砂利などでカバーする。緑の
芝生の中で砂利の白色がアクセントになる
(オランダ)
芝生を美しく
日本で多く使われているコウライシバなどは、匍匐茎が伸長し、はじめの芝生の形状から広がってはみ出していくため
芝生の形が崩れてしまいます。芝生と園路や石組などとの接点は、家庭用に普及している手押し式の芝生機では、
刃が届かない為に刈れずに残り、シバが伸びたままになって美しいとは、いえません。(下の写真)
「シバは、刈り込みによって芝生となる」と言われるくらい、刈り込みは芝生管理をする上で重要な作業です。
一定の高さで刈り揃えられた芝生は、たとえ雑草が少しぐらい混じっていても美しいものです。

↑敷石の縁の芝生が刈り残っている。
ここを刈ることで、芝生と園路が引き立ちます。
庭を広く見せる
庭を広く見せるには、いろいろな方法があります。
例えば、庭園内の敷石の幅を手前は広く、奥を少し狭くとる方法や、
飛び石なら手前に大きめを、奥に小さめの石を配置する方法があります。
いずれの場合も、遠くにあるものは小さく見えると言う、透視的遠近法による錯視をねらったものです。
古庭園における例をあげると(下の写真)、桂離宮・中門から延段までの4個の方形の飛び石が、
遠くほど渡りを広くとって配置されています。
飛び石の大きさだけではなく、間隔も含めて考えてつくられた、非常にすぐれた技法だと言えます。

↑透視的遠近法で配置された飛び石
(京都・桂離宮)
庭の形について
これも、透視的遠近法の一つのビスタ(通景線)の利用です。空間の両側に生垣、並木、堀などを配置すると
見通す線の奥が一点に絞られ、庭が奥深く見えて広く感じられるもので、
イタリア露壇式庭園やフランス平面幾何学式庭園においてよく用いられている手法です。
たとえば、アプローチの両側に生垣を配植し、さらにビスタの先端にアイストップを配置すると、
奥行がいっそう深まります。
また、下の図のように敷地が台形の場合、建物を建てた残りの三角形の頂点に向かってビスタを設定すれば、
庭が広く感じられます。また下の写真の庭は、公道から眺めたものですが、奥が遠くにあるように錯覚し、
庭に奥行が出ているのがわかります。また居間から眺めると、美しく咲いた草花が、
建物に近い側から遠い側に流れていくように感じられます。もし和風庭園にするなら、流れ(細流のような細い流れ)を
近い側から遠い側に流しても面白いと思います。

↑ビスタにより奥行を出した庭 ↑ビスタにより奥行を出した住宅庭園
このように、遠近法は庭の形や敷石に限らず、庭木や草花の配植にも応用することができます。
きっと庭づくりが楽しくなるので、一度試みてください。
また、庭の鑑賞も、今までとは違った新たな見方ができるようになります。